具体的には、マネーストック(通貨供給量)を増やす政策で、貨幣の発行、国債の引受、定額給付、所得の保障などがそれにあたります。すなわち、ヘリコプターマネーとは、中央銀行が生み出した返済する必要のないお金を政府が国民に供給する政策のことです。
”ヘリコプターマネー”は、米国の経済学者、マネタリストであるミルトン・フリードマンが著書「貨幣の最適量」で用いた比喩で、さもヘリコプターから市中に現金をばらまくような政策であることから名付けられました。
ヘリコプターマネーは、財政政策と金融政策(QE:量的緩和政策)を組み合わせた政策です。ヘリコプターマネーは、政府が発行した債券を、中央銀行が新しく発行した貨幣で引受け、政府はその貨幣で国民に現金を直接供給する政策ですが、対価をとらない政策であるため、中央銀行の債務が膨らむことになり、中央銀行の信認が問われやすくなります。さらに、通貨供給量を増やす政策であることから、お金の量が増えて通貨は安くなりやすく、インフレも進みやすくなります。デフレの状況の時には効果的な政策とされていますが、現行の日本の法制度ではヘリコプターマネーはできないことになっています。日本銀行の財政ファイナンスとなり禁止されています。ただし、日本銀行による金融調整の結果として日本銀行が保有する国債などのうち、償還期限が到来した国債は「財政法第5条但書」規定に基づいて、国家の議決を経た金額の範囲内で国による借換えに応じることができます。
ヘリコプターマネーは、名目GDPを増やす効果があります。家計に貨幣を渡せば必ず支出が増えて名目GDPは増えます。インフレがどの程度進むかは状況によって異なますが、そのインフレによって国民の購買力は低下します。ゆえに、一種の税金のような働きが生じます。これをインフレ税といいます。ヘリコプターマネーは、デフレ時に効果的とされており、国民にお金を供給することによって遊休資源が活用されるようになって経済全体を刺激し、結果的に生産と雇用が増えるので経済に利益をもたらすとされています。そういったデフレ時においてインフレ税は有効な増税といわれています。
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