大統領令の権限の制限範囲は、合衆国憲法で「執行権は米大統領に属する」としか記されておらず、明確に規定されていないため、大統領が議会を通さずに政策を実現する手段として用いられます。また、議会が制定する法律による委任を受けて大統領が発令する場合は、法的強制力も持つことになります。大統領令は、規制の改廃や通商政策、移民政策など幅広い分野に権限があります。
大統領令は、19世紀にリンカーン大統領が実施した奴隷解放令が第一号です。奴隷として扱われていた黒人らを解放して自由にするものでした。また、ルーズベルト大統領は「日系人強制収容」を大統領令で実施しました。歴代大統領で大統領令を出した最多はルーズベルト大統領で3,522件です。オバマ大統領は、議会の過半数を野党の共和党が占めてねじれ状態となっていたため、大統領令に頼り、共和党の反発を招きましたが、オバマ大統領は任期8年で出した大統領令は276件と20世紀以降では最低水準でした。
大統領令に反対する場合、議会は法律を作ることによって対抗する(大統領令が効力を失う)ことができるほか、最高裁判所が違憲判断を出すことで対抗することができます。また、議会が予算を認めないことでも対抗することができます。
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