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マイナス金利政策とは

マイナス金利政策とは






マイナス金利政策とは

  • マイナス金利政策(読み方:まいなすきんりせいさく|英語:Negative interest rate policy)とは、日本銀行付利(ふり)をマイナスにする政策のことです。

これは自国の通貨安を誘導するために行われる政策(海外に比べて金利が下がれば通貨高(円高)の圧力が弱まる)で、市場の資金を他の通貨の運用に仕向けようとする政策です。加えて、中央銀行に預けられている民間銀行の預金を市中に振り向け、景気の刺激と物価上昇を狙う政策でもあります。




付利とは

付利とは、金融機関が中央銀行である日本銀行に預ける当座預金超過準備に付く利子のことです。 日本銀行は準備預金制度で、対象となる金融機関(銀行、信用金庫(預金残高 1,600億円超の信用金庫のみ)、農林中央金庫)に対して、受け入れている預金等の一定比率(準備率」以上の金額を日本銀行に預け入れることを義務付けています。この預け入れなければいけない金額(当座預金または準備預り金として)には最低預け入れなければいけない金額が決まっており、これを「法定準備預金額(所要準備額)」といいます。法定準備預金額を超えて日本銀行に預けている当座預金または準備預り金を「超過準備」といいます。この超過準備に付く利子のことを「付利」といいます。






マイナス金利の導入

ECBが先行して導入していたマイナス金利政策ですが、日本でも金融政策の一つとして導入されました。日本では、これまで日本銀行はマイナス金利政策をしにくいとされていました。というのも、日本銀行は量的・質的金融緩和(QQE)によって民間銀行から大量の国債の買い入れていますので、超過準備の残高がECBに比べて圧倒的に多いです。超過準備の残高が多い状態でマイナス金利に踏み切ってしまえば、その分民間銀行の収益が下がってしまい、その影響によって民間銀行の全体的な利ざやも縮小してしまいますし、マイナス金利政策はマネタリーベース減少にもつながります。マイナス金利になると、民間銀行は日本銀行から借りている大量のお金を返そうとしますので、マネタリーベースが減少してしまうので す。マネタリーベースが景気を刺激するかどうかは一概には言えませんが、政策として日本銀行はマネタリーベースを増加させるようにしていますので、マネタ リーベースの減少は「金融引き締め」と捉えられる可能性があり、日本銀行はマイナス金利政策をしにくいとされていました。




マイナス金利政策の効果

マイナス金利政策は、以下のような効果があるとされています。

  • 円安効果。マイナス金利政策は自国の通貨安を誘導するために行われる政策でもありますので、為替が円安に進むことが期待されます。日経平均株価は為替が円安に進めば上昇、円高に進めば下落する、為替レートとの連動性が高い株価指数ですので、全体的な株価の上昇も期待されますし、円安でメリットを受けやすい企業の収益改善にもつながりやすくなります。
  • 市中(市場)に回るお金の量が増える効果。マイナス金利政策は、民間銀行など金融機関が中央銀行(日本銀行)に預ける当座預金の超過準備(払い戻し分を超過した金額)に付く利子(付利)をマイナスにする政策ですので、民間銀行が中央銀行に資金を預けると金利分の預金が減ってしまいます。ですので、民間銀行など金融機関は中央銀行に資金を預けるより融資や投資で資金を運用しやすくなります。それによって、先行不安の改善、企業収益の改善や賃金の上昇、それに伴って景気回復や物価上昇の効果が期待されます。
  • 市中(市場)金利が 低下する効果。マイナス金利政策は市場金利の低下要因ともなりますので、企業向けの貸出金利や住宅ローンの金利の低下が期待されます。企業向けの貸出 金利が低下すれば、企業は設備投資しやすくなって収益改善・景気の刺激につながる効果が期待できますし、住宅ローンが低下すれば住宅が売れやすくなる効果が期待できますので、景気にとってはプラス要因と見ることができます。ただし、市中に回るお金の量が増えますので、不動産価格は上昇しやすくなります。





マイナス金利政策のデメリット

  • マイナス金利政策の導入は悪影響もあります。マイナス金利政策の導入は、金利での収益が多い民間銀行や保険会社の収益を押し下げる要因となります。マイナ ス金利政策は、付利がマイナスとなるだけでなく、市中金利も低下します。その影響によって全体的な利ざやも縮小してしまうことが予想されますので、銀行株・保険株にとってはマイナス要因となります。
  • 民間銀行の収益が下がれば民間銀行はリスクをとれなくなってしまいますので、中小企業向けの融資を縮小する可能性が高まりますし、収益悪化を避けるために貸出金利の引き上げや企業預金の金利をマイナスとする動きに出たり、無理に融資拡大を行って不良債権が拡大する可能性もあります。
  • マイナス金利政策は、民間銀行が資金を融資や投資で運用する効果が期待できる政策ですが、実際に民間銀行が融資や投資に資金を振り向けるかどうかは不透明で、日本経済の先行きに成長期待が持てなければ、企業は銀行からお金を借りようとしませんしリスクオフが意識されるため、民間銀行はその資金を国債に振り向ける可能性も高いです。民間銀行が資金を国債に振り向ければ、日本銀行が買う国債が減ってしまう恐れが出てきます。また、資金は日本国債ではなく海外の国債にも振り向けやすくなり、その影響で海外の国債の金利は低下し、日本との金利差が拡がりにくくなるので、円安の効果が薄れる懸念もあります。

  • マイナス金利政策の導入は自国の通貨安(円安)を誘導する政策の一つですので、自国の通貨安によってデメリットを受ける企業の収益も下がりやすくなることが予想されます。また、日本銀行のマイナス金利政策はドル高要因ですので、米国の景気失速が懸念され日本経済への跳ね返りが予想されますし、ドル高によっ て新興国の通貨は安くなりますので、ドル建て債務を抱える新興国の企業にとって返済負担の厳しいものとなり、業績悪化や信用力の低下を引き起こしやすくなります。また、新興国の企業にドル建ての債務を担っていた米国の投資信託ヘッジファンド、年金などは資金を自国へ引き揚げよ うとします。そうなれば、新興国にとっては業績悪化や信用力の低下に加えて、資金調達がしたくてもしにくい状態となってしまい、世界的に新興国経済への懸念が大きく出て、世界経済を大きく揺るがす事態になりかねませんし、ドル調達コスト上昇による影響も懸念されます。
  • 日本に先んじてマイナス金利を導入していたECBは、マイナス金利導入によってユーロ安を誘導できました。それは、ドイツなどの金利が低下しユーロが下 がって銀行貸出が増える効果が出たためです。ただ、日本の場合はこれとは事情が違います。日本の場合は、すでに金利がゼロに近い状態でのマイナス金利導入 ですので、発射台が低く、金利引き下げによる円安の効果が出にくいと考えられます。また、民間銀行などの資金が海外の国債へ振り向けられれば金利差も拡がりにくいため、円安の効果が出にくい懸念があります。








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