シャドーバンク(影の銀行)は、金融当局の規制や監視を受けない運用機関であったり、規制や監視が弱いカテゴリーで規制下にあって銀行と同様の金融取引を行っている機関がそれにあたり、具体的には以下のような機関があります。
シャドーバンク(影の銀行)は、預金の取り扱いはないため、預金発行や決済する機能はありません。信用創造ができないものの、通常の銀行と協力して市場を拡大し、シャドーバンクはその規模を大きくしてきました。シャドーバンクは通常の銀行と協力することで通常の銀行と同様の機能も有することもあります。
中国では、2010年に中国人民銀行が金融引き締め策を行ったことで、事業に必要な資金を銀行から借りれなくなった地方政府や企業がシャドーバンクを利用して資金を集め、都市開発を進めていきました。これによりシャドーバンクの規模は急激に拡大していきました。ただ、その後に中国の景気が減速したことによって事業を失敗させる地方政府や企業が増え、返済ができない地方政府や企業が増えていきました。どれだけの規模のお金が返済不能になっているのか実態は把握されていないため、その影響の度合いを測ることができず、連鎖破綻するのではないかと度々問題視されています。
中国では、上記のように地方政府や企業がシャドーバンクを利用して資金を集めましたが、その資金の集め方は、例えば地方政府であれば、地方政府の傘下の投資会社が「理財商品」という高い利回りをつけた金融商品を発行し、それを投資家に販売して資金を集めていました。そのため、シャドーバンクが地方政府にお金を貸しているように見えますが、実際にそのシャドーバンクにお金を貸していたのは投資家ということになります。
米国(アメリカ)でシャドーバンクが有名になったのは、リーマンショック時です。2008年の米国のサブプライムローン問題で、証券化商品の価格高騰の中心的な役割を果たしたのがシャドーバンクです。米国のシャドーバンクは、FRB(連邦準備制度理事会)の直接的な管轄下になく監視も甘く、FRBからの緊急融資や政府保証も受けられない側面があります。
米国の銀行業界は、1933年のグラス・スティーガル法の規制下にありました。しかし、1970年代の規制緩和によって、MMF(マネー・マネージメント・ファンド)や証券化商品といった形態のシャドーバンクが発展していきました。その後、1999年のグラム・リーチ・ブライリー法によって、グラス・スティーガル法が廃止され、メガ銀行が誕生していきましたが、そのメガ銀行は収益性を求めて証券化商品を複雑に発展させていきました。それによってシャドーバンクはさらに拡大していきました。そして、リーマンショックによって、今後は規制が強化されると、商業銀行や投資銀行は信用創造機能が低下していきました。それによって銀行からの貸出に頼れなくなった企業などはシャドーバンクを頼り、シャドーバンクの役割は拡大していきました。
「シャドーバンク」と言う場合、中国のシャドーバンクがよくよく取り上げられますが、世界で最もシャドーバンクの規模が大きいのは米国です。世界のシャドーバンク117兆ドルのうち、米国が26%、中国が10%程度となっています(2017年時点)。
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