ダウ理論の基本的な原理は、彼がWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)に書いた論説で概要が示されましたが、1902年の死後に、WSJの編集者だったウィリアム・ピーター・ハミルトン氏が今日のダウ理論を作り、ロバート・リー氏によって広められました。
ダウ氏は、自ら「ダウ理論」と言ったことはなく、「ダウ理論」という言葉は、友人のサミュエル・アームストロング・ネルソンが言ったものだとされています。
ダウ理論は、1902年に出版された「株式投機のA・B・C」で、その全てが一冊にまとめられています。
ダウ理論では、市況や相場のトレンドの情報を持った数多くの投資家の洞察力・行動が反映されるので、平均株価は全てを織り込む(反映する)としています。相場は、風船のように風のままに漂うのではなく、先読みや情報を有している投資家が、将来の価値まで株価を調整しているとし、株価の動きは過去ではなく、将来を反映するものであり、将来起こり得る影は前もってニューヨーク証券取引所(NYSE)に落ちるのである、としています。
また、株価には、3つの変動@長期トレンド、A訂正トレンド、B短期変動があるとしています。
長期トレンドとは、1年以上数年間に及ぶトレンドで、20%以上の変動を伴う大きな上昇・下降の運動としています。長期の上昇トレンドについては、株価の上昇のうねりが長いほど、株価は前の高値(たかね)より高くなり、反落の局面があっても前の安値(やすね)を割らず、高い水準で推移して上昇していくもの、としており、これを「強気市場」と呼んでいます。長期の下降トレンドは、この逆で、下げが前より低い水準で推移し、上昇局面でも、前回の天井の高さまで至らずに反落することとしており、これを「弱気市場」と呼んでいます。
「強気市場」、すなわち、長期の上昇トレンドは、通常、3つの局面に分かれるとしています。
「弱気市場」、すなわち、長期の下降トレンドも、通常、3つの局面に分かれるとしています。
訂正トレンドとは、強気市場における反落、弱気市場における反騰の局面のことで、長期トレンドの動きを遮る動きとしています。訂正トレンドは、通常、3週間から数カ月続くとしており、長期トレンドの値幅の1/3は少なくとも下げる(上げる)としています。
短期変動とは、ダウ理論では通常6日以内の短期の変動のことを指します。ダウ理論ではこの変動に大きな意味はないとしていますが、投資家の注目は極めて高くなるとしています。
ダウ理論では、出来高は、長期トレンドの方向に株価が動くにつれ、増加していく傾向にあるとしています。
強気市場の場合、株価が上昇した時に出来高が増え、下落した時には減少する。ただ、株価が下落した時に出来高が増えたら、近い将来、上昇トレンドが終わる可能性が高まる。
一方、弱気市場の場合、株価が下落した時に出来高が増え、上昇した時には減少する。ただ、株価が上昇した時に出来高が増えたら、近い将来、下降トレンドが終わる可能性が高まる。
相場が横ばいで推移することをダウ理論では「ライン」と言っていますが、横ばい(ライン)は、株価の変動が5%以内で2,3週間から数カ月続くとしています。この横ばいは、売りと買いが拮抗して、バランスがとれていることを意味し、この横ばいの上限を株価が上抜ければ強気のシグナルとなり、下限を下抜ければ弱気のシグナルとなる、としています。この横ばいは、横ばいの期間が長ければ長いほど、上抜け・下抜けの意味は大きくなる、としており、横ばいの状態を脱した時というのは、相場の勢いが強い、としています。
ダウ理論では、始値(はじめね)や安値・高値でなく、終値(おわりね)のみを考慮するとしています。ザラバの動きは考慮せず、終値は、その日、投資家が最後に評価した株価であり、この株価を見て翌日の投資を考えるため、終値がベースになるとしています。
ダウ理論では、トレンドはその反転が決定的になるまでは続くものとしています。強気市場も弱気市場も永遠には続かないが、トレンドが形成されれば、反転が起こり得るものの、相場の見方をすぐに変えて売買するより、トレンドの転換を確認してから売買した方が儲かることが多い。
その他「テクニカル分析」に関する記事は以下。
株式投資初心者の方から中・上級者の方まで、全ての投資家に必要な投資情報を詳しく解説したサイトです。投資信託やデリバティブ、経済学の内容も充実。
IMM投機筋ポジション・投資部門別売買状況・裁定取引の推移・信用残の推移・株価指標・債券・為替の動向まで、投資をする際に見ておきたいデータを集めたサイトです。
マーケット動向をブログ形式で随時更新。日々の投資の参考にご活用ください。
仮想通貨を1からわかりやすく徹底解説(動画付き)!投資情報からトレード手法まで、仮想通貨をはじめるならここから!