FRB(連邦準備制度理事会)による公開市場操作(オペレーション)は、FOMC(連邦公開市場委員会)から指示を受けてニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)が実施していますが、公開市場操作を通じて取得した証券(債券など)資産を管理する口座を「SOMA」といいます。そのSOMAが保有する証券の売買がPOMOです。具体的には、NY連銀と金融機関との間で行われるSOMAの証券(国債やモーゲージ証券(MBS)など)の売買がPOMOです。簡単に言うと、FRBがNY連銀を通じて金融機関から証券を買い入れる資金供給策の一つです。
公開市場操作は、中央銀行による市場での証券の売買を指します。中央銀行が国債を売買することで、民間金融機関(民間銀行)の流動性の高低を調節します。公開市場操作は、短期金利とベースマネーの供給を操作することが目的となっています。連邦準備制度における証券の売買は、米国の銀行システムで利用できる準備金を恒久的に増減できます。POMO(恒久的公開市場操作)は、一時的な公開市場操作とは逆で、一時的な銀行システムで利用できる準備金を増減させるためのツールで、これにより連邦資金率に影響を与えることができます。
公開市場操作は、FOMCの指示を受けてNY連銀が実施しますが、公開市場操作はクレジット量に大きく影響します。連邦準備制度が民間銀行から証券を買い入れれば、銀行システムの流動性を高めることができ、金利が下がります。連邦準備制度に証券を売却して収益を得た銀行は、それを融資目的で使用することができるので、国の経済活動を刺激する効果が見込まれます。逆に、連邦準備制度が民間銀行に証券を販売すれば、銀行システムの流動性は低下し、銀行は貸し出す資金が少なくなって、国の経済活動にブレーキをかける効果が見込まれます。
公開市場操作とは別に、FOMCは公開市場操作において異なる運用目標を設定することがあります。それがリーマンショック後の2009年から行われた恒久的な公開市場運営の一環としての長期の財務省証券(長期の米国債)の購入です(POMO)。世界的に金融市場で信用収縮(クレジット・クランチ)が起こったため、民間の信用市場の状況改善を目的として実施されました。この時、POMOの実施によって株価が上がるという現象が起きていました。それは、金融機関がPOMOによる証券の売却代金を株式のアルゴリズム取引に振り向けていたためとされています。また、2018年には、エージェンシー債の再投資のための戦略としてPOMOが行われました。
FRBのバランスシート(総資産)の推移は、姉妹サイト「株式マーケットデータ」で確認することができます。
※その他「政策」に関する記事は以下。
中央銀行
金融政策
株式投資初心者の方から中・上級者の方まで、全ての投資家に必要な投資情報を詳しく解説したサイトです。投資信託やデリバティブ、経済学の内容も充実。
IMM投機筋ポジション・投資部門別売買状況・裁定取引の推移・信用残の推移・株価指標・債券・為替の動向まで、投資をする際に見ておきたいデータを集めたサイトです。
マーケット動向をブログ形式で随時更新。日々の投資の参考にご活用ください。
仮想通貨を1からわかりやすく徹底解説(動画付き)!投資情報からトレード手法まで、仮想通貨をはじめるならここから!