TPPは、FTA(自由貿易協定)の一つです(メガFTA)。アジア太平洋地域の新しい貿易や投資の自由化ルールを築くことを目指し、協定に参加する国同士で貿易での関税の撤廃・削減や投資、知的財産の保護、政府調達、国有企業への優遇縮小、電子商取引、強制労働や児童労働の禁止、経済活動による環境破壊の防止など、幅広い分野の共通ルールが取り決められます。
米国のトランプ政権がTPPからの離脱を通告したことによって、当初日本政府は、TPPは米国抜きでは意味がないとの姿勢を示し、TPPの頓挫も懸念されていましたが、一転、日本政府は米国以外の11カ国による協定発効を目指し、米国抜きでTPPの本格的な検討へ。
日本政府が米国抜きのTPP推進に方向転換した理由として、2017年2月の日米首脳会談において、トランプ政権が米国抜きにTPP推進に異議はないとし、アジア太平洋地域の貿易・成長促進に最善の方法を探ることで合意したことが理由の一つとされています。日米首脳会談後に公表された共同声明において「日本が既存のイニシアチブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することを含む」という一節で日本がTPP11を推進することを米国に確認したとされています。
さらに、シンガポールなどは、TPP11を米国離脱後のTPP内で最大の経済規模の日本に主導して欲しいという期待があり、日本がアジアで貿易自由化を進めて欲しいとする声もありました。また、米国がTPPから離脱したことで、アジアで中国主導が強まることへの警戒もあるとされています。そして、日本政府がTPP11を推進するのは、通商で2国間主義を強める米国へのけん制であるとも指摘されていました。
ただし、米国抜きのTPP発効には、まず米国を外す協定改正を11カ国で合意する必要あり、TPP11に前向きな国があるのに対し、ベトナムやマレーシアは、米国への輸出市場を期待して交渉で譲歩していたため、米国抜きのTPPは魅力が小さく難色を示す向きもありました。
TPP11の参加国は、2017年11月11日の閣僚声明で新協定で大筋合意しました。米国を含んだ当初のTPPからは20項目が凍結されましたが、高水準の貿易ルールを維持する内容で、早ければ2018年前半に署名し、2019年からの発効を目指す予定です。これが実現すればアジア太平洋をまたぐ初のメガFTAとなります。
この新協定は「包括的及び先進的な(CP)TPP」と名付けられ、世界のGDPの12.9%、貿易額では14.9%を占める貿易圏となり、他の多国間協定のモデルとなりえます。加えて、新加盟国に備えた協議規定も設けられており、台湾が参加に意欲を示しています。
凍結された項目は知的財産に関連するものが半分を占めており、医薬品の開発データの保護期間を原則8年とするものや著作権の存続期間を作者の死後70年とするものなど。
2018年12月30日、TPP11が発効され、関税の削減・撤廃に加えて投資・サービス分野の市場開放へ。医薬品の開発データの保護期間を原則8年とするものや著作権の存続期間を作者の死後70年とするルール整備は見送られ、映画などを違法コピーできないようにする「コピーガード」を破る行為を取り締まる条項も、米国の復帰まで効力を棚上げされました。一方、日本は独自に著作権の保護期間をこれまでより20年長い70年に延長。特許申請ルールを整備するなど、凍結分野の一部を自主的に実施する方針です。凍結により、企業が政府を相手取って国際機関に仲裁を申し立てられるISDS(投資家と国家の紛争解決)条項は、発動対象を「政府による差別的扱い」や「資産の不当な接収」などに限定され、政府が企業との約束をほごにした場合などの発動は見送られました。
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